「私の未来は、とうに流れていったと思ってた」
透明な水色は、空の青をも写していた。写る雲が水面を揺らすと同時に分散されて、少年の気持ちも分散されたようで、それが苛立ちだったら良かったものの、優しい感情だったから本人はますますそれが気にくわない。
「ねえ、あの子の持っていた本の中にね、あの子そっくりの登場人物がいたのよ」
諭す口調は、今の自分の立場を決定づけた。大人と子供。そうやって分断されたけど、周りは水ばかりでなにも変化がなかったから、その決定を受け入れることが少年には出来なかった。
目の前の少女は、まさに大人になっていた。華奢な体躯はそのままに伸びた身長、金色に似た黄色の髪は一層の艶が出ている。綺麗だった。少年は一目見た瞬間にそれが誰だか分かったけれど、信じがたくて何度も目を瞬かせた。それでも、変わることはなかった。
「懐中時計を持って慌てて走る兎さん。あの子ね、兎さんのような白い髪に赤色の瞳を持っていてね、すっごく可愛かった」
無表情で、抑揚の無い声だったらが、少年は彼女が至極楽しそうに話していることを悟っていた。だから、口を挟まずに、腕を組んで不機嫌な表情を見せながらも黙って聞いている。水を弄びながら、口を開いている彼女に少年の不機嫌な格好が見られるはずもなく、少年は本当に遠慮無く唇をへの字に曲げて、眉を一層寄せていた。
言動も全て、前の彼女のモノだったけれど見た目だけで優雅になってしまうことに少年は内心とても驚いていた。それと同時に前の彼女がどこかへ行ってしまった恐怖が降りてきて必死に胸の内に隠しておいた。
「もしかしたら、彼女が私の未来を取り戻してきてくれたのかもしれない」
その懐中時計で、楽しそうに話す彼女に茶々を入れるのは少年にとっても些かの罪悪感があったが、こればかりは反論せざるを得ない。
「でも、あの子が持っていたのは本だった」
「懐中時計が時間を巻き戻すんじゃなくて、それを持つ本人が時間を巻き戻せたとしたら?」
そしたら一致するわよ、なんてなんて無茶苦茶だ、と少年は子供の考えを持つ、自分よりも大きい存在にため息をついてしまった。
「どちらにしろ、あの子が未来を運んできてくれたのは同じこと。まだ、私にも道は続いている。地平線は見えていないわ。……ねえ、」
青い空と聡明な水を見比べて、四方に彷徨っていた視線が少年の瞳とぶつかった。その問いかけが彼に対してのだと言うことの合図である。それを悟った少年の背筋にはぞっと悪寒が駆けめぐり、耳をふさぎたくなるほどの嫌悪感を感じてしまったが、それをその柔らかい瞳が捕らえて逃さなかった。少年にとっては優しくはない残酷な棘のある瞳だったが。
「貴方には未来があるのかしら」
肺に空気が詰まる。息を出すことも忘れてしまい、脳が止まって全てを停止させた。彼女が楽しそうに言うから、彼女が残酷に言うから、子供というのは時として意味も分からなくても思ったことを全て口に出してしまう生き物だから。でも彼女は確かに大人の体躯をしていて、子供の考えなんていくらでも否定できる。それはまだ、生が浅い存在だから。大人の言葉が残酷に降りかかったような気がした。行動も言葉も全部、前の彼女のものなのに。
駆けめぐる思考に口が開かない。楽しそうに言う彼女をじゃましたくてではない。本当に、少年の口から、なにも出てくることはなかった。
某よこやんさんと某めいあさんのロス子たんが可愛すぎたので便乗。どうしても書きたかったです。三十分で書き上げる目標に二十五分!もっと書きたいことがあったのでメモ書き程度じゃなくていつもの文章くらいに出来るかも。
かわいいなかわいいな。大人ロスト←少年とロスト→←少年の方程式ができあがった。大人の時は少年の一方通行だと可愛いとか語りたいこと出来たんだけど、テスト終わってから!
少年はね、いっつも人間を卑下して馬鹿にしてるからそういうことしてる子には未来は無いよって言うロストさんからの教訓なんd(強制終了